昭和30年3月 (1955)〕
ネオヂクロン及び二硫化炭素による
鉤虫卵の殺滅試験
久津見晴彥
国立予防衛生研究所寄生虫部
手
大
裕
川崎市高津保健所稲田支所
(昭和29年11月2日受領 )
最近和泉 (1954) は各種消毒薬の虫卵殺滅効果を調べ
て、市販殺蛆剤ネオヂクロンがかなり著しい殺卵効果の
あることを発表している。 そこで我々はネオヂクロンに
ついて, 実験的に鉤虫卵の殺卵効果を追試し,併せ
て二硫化炭素及びネオヂクロンによる虫卵殺滅の野外
試験を行った。
Ⅰ. 実験室内試験
A. 蛔虫卵殺滅試験
(1) 試験材料及び方法
(i) 供試薬品及びその組成: ネオヂクロン (明治薬品
工業株式会社製) は市販されている1ポンド増入を使用
した。 この組成は, パラヂクロールベンゾール 10.56
%,ブローム・エチレン 9.55%, トリクロールエチレン
39.44%, などを主剤とするもので, 濃茶色の原液に水
道水を加えて充分攪拌すると白色の乳化液となる。
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加えて混和し虫卵含有尿液を作り、次いで薬剤を加え
た。 この場合ネオヂクロンは先づ 250倍,500 倍, 1000
倍に稀釈した液を作って, その2cc を2cc に加え
て充分攪拌し所定の500倍,1000倍, 2000 倍稀釈にお
いて作用させた。 作用温度は室温 (21~27°C) である。
別に (a) (b) 共に薬剤を入れないで水道水だけを加えた
対照を置いた。
(iii) 効果判定の方法: 所定日数作用せしめた虫卵液
又は虫卵含有屎液を沈澱管に移して充分量の水道水で数
回洗滌して薬液を除き, 瓦培養法により1~2週間培養
を行い,その時期において培養虫卵 100コについてそ
の発育状況をしらべた。 観察の結果は和泉 (1954) の判定
方法を用い, 単細胞期, 初期分裂期, 桑実期,蝌蚪期,
仔虫期, 退化に分類した。 退化卵とは, (1) 卵細胞が微
小顆粒状となって固有の形の崩れたもの。 これは退化の
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