6 プログラムの内容
性犯罪を抑止するためのスキルを身に付けさせることを目的としたものとする。
プログラムは, ①グループワーク (数名から十数名程度の参加者+2名の指導者),
② ワークブック(プログラム時間外に取り組む課題), ③ 個別面接 (対象者個人の
必要性に合わせた頻度で実施) の3つの要素からなる。
(1) 密度
プログラムには,3種の密度を設け, それぞれ
ア
高密度:全科目を受講 ,
イ
,
中密度:必修科目及び本人の問題性に応じて受講が必要な科目を受講
ウ 低密度:必修科目のみを受講,
と位置付ける。調査センターにおける性犯罪者調査の結果に基づき, 性犯罪につ
ながる問題性が大きい者には高密度, 問題性が比較的限定的な者には中密度,比
較的小さい者には低密度を受講させることとする。
(2) 科目
プログラムは, オリエンテーション, 第1科から第5科の本科及びメンテナン
スの7種とし, 受講必要性及び本人の問題性に応じて受講科目を設定する。 各科
目の実施目標は次のとおりである。
ア オリエンテーション [1~2セッション]
(ア) 概要説明
性犯罪の概要について説明するとともに, プログラムの構造, 実施目的を
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理解させる。
(イ) 自己規制の動機付け
性犯罪につながる問題性を助長するおそれがある行動 (例えば,逸脱した
性嗜好や性犯罪につながる認知を維持・増長させるような写真集, 書籍,雑
誌等を閲読すること) について説明し, プログラム受講開始前の生活におい
ても、自己規制するよう方向付ける。
(ウ) 質疑応答
プログラムの受講に関する質疑応答を実施し, 対象者の不安の軽減を図る。
第1科 自己統制 [全26 セッション; 凝縮版は12セッション]
イ
(ア) プログラム受講の心構えを養い, 参加の動機付けを高めさせる。
(イ)事件につながった要因について幅広く検討し, 特定させる。
(ウ) 事件につながった要因が再発することを防ぐための介入計画 (自己統制計
画)を作成させる。
(I) 効果的な介入に必要なスキルを身に付けさせる。
ウ 第2科 認知の歪みと改善方法 [全11 セッション]
(ア) 認知が行動に与える影響について理解させる。
(イ) 歪んだ認知の変容を図り、 適応的な思考スタイルを身に付けさせる。
(ウ) 認知的再体制化の過程を自己統制計画に組み込ませる。
エ 第3科 対人関係と社会的機能[全9セッション]
(ア) 望ましい対人関係について理解させる。
(イ) 対人関係に掛かる本人の問題性と性犯罪との関係に気付かせる。
(ウ) 望ましい対人関係を築くために, 必要なスキルを身に付けさせる。
オ 第4科 感情統制 [全8セッション]
(ア) 感情が行動に与える影響について理解させる。
(イ) 感情統制の機制を理解させ, 必要なスキルを身に付けさせる。
カ 第5科 共感と被害者理解 [全10 セッション]
(ア) 他者への共感性を高めさせる。
(イ) 共感性の出現を促す。
キ メンテナンスプログラム [4 セッション以上]
メンテナンスプログラムは, 本科受講後に実施したアセスメントの結果や、
指導担当者の作成した指導計画, その後の受刑生活の様子, 本科受講後に経過
した期間, メンテナンス編入前の本人の状態等を総合的に判断して, 回数及び
実施頻度を個人別に設定する。
(ア) 出所前に,科目1~5で学んだ知識やスキルを復習させ,再犯しない生活
を続ける決意を再確認させる。
(イ) 作成した自己統制計画の見直しをさせる。
(ウ) 社会内処遇への円滑な導入を図る。
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