「そうだ. 俺達の時代では、〝魔王は倒されている"! つまり、お前が帰還して、魔王を倒さねーと、因
果が崩壊する!
お前がやらねえと、俺達の時代はどうなるかわからねえ! 最悪、お前が行かない〟と決意した瞬間
に、俺達の世界が消滅する可能性だってある! だから――......」
「そうだな。うん、そうだ」
どこか自嘲気味にセリカが、ほんの少しだけ口元を歪めた。
ゆが
「実を言うとな......記憶を取り戻し、かつての魔術を取り戻した私なら、〝放っておく〟って選択肢はあった
んだよ......」
「...... セリカ......?」
「限定的だが、私を取り巻く小さな世界だけを、次元樹から.. 因果律から切り離し、未来のない、どこ
にも向かわない箱庭の小世界を作って……そこで、お前達と一緒に、永遠に幸せな夢を見続ける......そん
なことも、できたと思う......」
未来に向かわない、閉ざされた箱庭の世界。
そう聞いて、グレンが思い出すのはアルザーノ帝国代表選手選抜会の時の、永遠に繰り返される一
週間―ル=キル時計によって未来が閉ざされた世界のことだ。
「......でも......そんな格好悪いこと、できないよな......そんなの......お前が憧れた、〝正義の魔法使い〟の
やることじゃないもんな......」